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No.137 High School Teacher in Tokyo



お金をもらってる職業は

美術の教員をやっております


で お金にならないですけど

絵描きをやってますね

絵描きです




high school teacher in Tokyo monologue365 モノローグ365


仕事で大事にしてること

なんだろうな


子供たちに対する愛情って言うと

すごく安っぽく聞こえんだけど

なんかこう愛しむっていうか

そういう優しさっていうものを見せてやる



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茨の道も歩んでもらいたいんだけど

人に優しくできるように

優しさも教えたいし


それっていろんな形があるんだけど

そういうことが学校って

より大事だなっていうのは

もう十何年やってて思うところですね



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僕はもう美術家として

どうしても絵を続けたかったんですよね

ずっと絵を続けられるために

就職にこだわって

いろんな仕事をやるんですけど


やっぱり仕事ってなかなかね

絵を描く時間ってもらえなくて

もう寝ないで絵を書いてなんていう時期も

あったんだけど



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東京都美術館に自分が版画協会で

絵を出しに行く時に

ここの僕の卒業した高校の

美術の先生と会って


「お前何してんだ 元気か

教員免許取ったのか」


「いや取ってないっすね」


「お前ぐらいだったらウチでできたのにな」


なんてこと言われて

もうその時ですね



high school teacher in Tokyo monologue365 モノローグ365


「じゃあ僕 今の仕事 辞めるから

先生さぁ あと何年やんのよ」


「2年ぐらい」


「じゃ2年で俺 取るから 教員免許」


っていうことがきっかけ

いろんな意味でよくしてくれた人で

彼がいなければ

今の僕がないっていうかね



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僕はある意味

この仕事が天職かなって

自分の中でやっぱ思ってます


本当にいろんな仕事をして

焼き鳥屋さんやってみたり

工場で働いたりって

こう色んな事をやっていくんだけど

やっぱりどこもすごくなんか

退屈してきちゃうんですよね



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でもやっぱここって未来ある子たちに

いろんなきっかけを

与えてあげられる場所だし


生徒が目の前で悩んでる姿を見たときかな

何にも考えてなかったあいつが

すごい思い悩んでいる

自分の中でいろんなものに

やっとぶち当たってるって事に

気付いた瞬間を見るとすごく充実します


色々やった中でも

「もうこれ以上の仕事は僕にとってないかな」

っていうのが続ける理由ですね



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若い頃の仕事の理想ね

いやもうすごく漠然としてましたね


大学生の頃にアルバイトも

まぁ面倒くさいから

ろくすっぽしなかったんだけど

シルバーのアクセサリーを

ちょっと作ると結構売れるんですよね

それがアルバイトみたいになって


で なんかその延長で

ある結構有名なジュエリー会社に

就職するわけなんだけど



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自分の身の回りにいた人間達と

違う人種たちと出会ったことに

ショックだったのか

初めて体験したような

社会構造っていうのかな


それでね

なんか昼飯食いながらね

「俺何やってんだろう」ってね

なんかじわっと目が

熱くなっちゃったこととかあって

「何か違うんだな」って感じたんですよね


僕はもうね

そういう気持ちになると我慢できなくて

そこも長くは続かなかったね



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暮らせないっていうことが

隣にあるんだけど

それでもやっぱり自分を押し殺してまで

まぁそれ続けたら続けたで

なんか世界が見えたんだろうけど

「駄目だな」と思ったら

もう見切りつけちゃう


だから結局

すごい迷惑かけてきたかな

人にも迷惑かけるし

まぁ情けないっすよね

「じゃあ何ができんだよ?」って

自分に聞いたら何もできねーんだけど

「いや 俺これじゃねーんだ」

っていうことだけは言ってきたかな



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生徒たちは本当そう

ほとんどの子たちが

自分が何したいか分かんない

そらそうだよ

何も教えてないもん

自分でも何も教わろうとしてないし


何かやりだすってさ

それなりの覚悟がいるよね

その覚悟無しにレールに乗せられて

やれるなんてことはまずないし

楽なことはないからさ


でも「自分がこれって決めた」

って覚悟が一番いいんじゃないかな

だからちょっと思ったこと

やってみたらいいと思う



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色んな事する仕事を

体験する時期っていうのがね

社会人 あっていいんじゃないかな


何個か転々として

「やっぱりこれ」でもいいと思うんだよね

可能性ってすごく色んなとこに

転がってるからね


あんまり「これ」って

限定しない方がいいと思う



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まぁ 冷めちゃうなら

色々やったらいいんじゃないかな


冷めちゃって

で「これじゃねえ これじゃねえ」

って変えるわけじゃん


で 変えたのは結局自分なわけだから

今までの経験がだんだん生きてきて

多分そのどんどんどんどんどん

変えて回す回すことで

自分のスタイルって絶対見えると思うな



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その「変えるのを継続する」

ぐらいのつもりでやるといいと思う

相当パワーがいるけどね それって


でも それができるならそれこそ

なんか自分の仕事のやり方とか

見えるんじゃないかな



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やっぱり僕は

絵を描くことでその物事を

理解するということを得たから

「自分の言語がどれなんだろう」

っていうことはね 若い子達には

もっともっと気にして欲しいし


僕自身はまぁこれしかなかったなっていう

やれることだけを

やってるって感じですかね